どうげん事務屋塾

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ご先祖を調べる~墓誌をつくるまで①

 朝。お檀家の山田さんがお見えになりました。90歳だったお母さんが亡くなったのがおととしのこと。一緒に住んでいたおじさんの50回忌や若くして亡くなったお姉さんの33回忌がまもなく到来するのにあわせ、墓地の改修工事を行ないます。日程のことは伺っておりましたが、きょうからは詳細の打合せになります。

「3月頃、工事でしたよね」

「ええ。土葬でおさめたほうも、本墓地へまとめたいと思っているんです」

この地域は土葬の習慣が長かったので、火葬場ができてもしばらくは土葬か火葬か選んでいた時期がありました。昭和50年代半ば火葬が普及してきたために、墓地整理がなかなか進まなかったという時代背景があります。山田さんのおうちも、土葬のものはそのままで、最近亡くなったご身内はカロートのある新墓地となり、2か所墓地があります。

「それでね」

「・・・」

「全面改修になると、古いほうの石塔を持って来たり、外柵もなおすでしょう。墓誌がなかったので、作ることにしたんです」

「ほう・・・」

「石屋さんから、先祖を調べてくださいって言われてね。どうしたらいいもんかと・・・」

墓誌にはご先祖さまのお戒名、没年、俗名を刻みます。末永く残る記念碑です。これをつくるために原稿が必要になるのです。

「まず山田さんを基準とした家系図を書いてきてください。書式は自由で結構です。それに個々のお戒名と没年を載せていきます。おてらの過去帳を調べながら、清書していきます。こうしてお目にかかっての打合せがだいたい3回くらい、わたしが仕上げていく時間を考え、一か月くらいいただけますか」

「やってみます!」

山田さんはほっとしたようすで帰っていきました。