ご先祖を調べる~墓誌をつくるまで②
家系図をつくる
翌日。山田さんがおてらにやってきました。お施主様にご用意いただくものは、ご自宅のご仏壇にあるお位牌や過去帳、墓石の写真などです。関係がありそうなものは、すべてご用意いただきます。
「位牌はこれで全部です」
と風呂敷をあけます。家系図のフリーハンドを取り出しながら、
「こんなのでいいんでしょうか」と山田さん。
「ほう。よく書けてますね」
家系図をいまの当主を基準に書いていただき、そこに戒名を載せていくのです。家系図がないと、いまの世代の方々とご先祖さまとの関係すらわからず、話が詰まってしまうからです。
ここから俗名と戒名を突き合わせていきます。どうげんが住職になってからのご葬儀をおつとめした方は、過去帳と位牌を確認すれば合致します。だんだん時代をさかのぼると作業は詰まってきます。
①年齢を書いていないことがある。
②女性の場合、「彦左衛門の妻」のみとあり名前がない。
③過去帳に載っていない。
④位牌で記された逝去日と数日ずれた日にちで過去帳に記載されている。
などです。
「う~ん。だいぶわかってきましたね」
「こんなに大変なんですね。もっと簡単に済むかと思っていたのに・・・」
「山田さんのおうちは、まだわかるほうですよ」
家系図を書いたうえで、名前と生きた時代はわかるのだけど、誰の子供なのかがわからない方がありました。
「清右ヱ門は誰の子なんだろう」
「年代で推測してもはっきりしませんね。役所に抹消戸籍がありますから、調べてみるとよいでしょう。明治10年くらいまでなら、追っかけられるはずです。」
「きょうは雪で畑ができないし、これから役所に行ってきますよ」
「私のほうは、きのう、きょうとわかったことを、エクセルで清書しておきますね」
山田さんは明日から九州へ出張なので、来週また作業を続けることになりました