どうげん事務屋塾

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ご先祖を調べる~墓誌をつくるまで④

 

 なんだかんだと、家系図へ戒名、俗名、没年月日のプロットが完成しました。

「やあ~結構大変なものなんですね」

「山田さん。各データはこれで調査が完了しましたから、今度はこれを基にどんな墓碑にするかを考えていきますよ」

「え~!まだなんかやらなくちゃいけないの~」

「おうちによってさまざまなカタチがありますから、墓地に行って見てみましょうか」

「は。。。はい」

「山田さんは本家さんなられますから、最近できた新墓地の方よりも、旧墓地の方のほうが参考になると思います」

「墓誌って書いてあるのが上だったり、右の一行目だったり・・・違いがあるんですね」

「そう・・・」

「どれも戒名が上ですね。その下を「没年だけ」とするか「没年と俗名との二行」にするか、一番下は年齢。細かいところが違ってきますね。どれがいいのでしょうか」

「山田さんのおうちはご先祖さまの数が27と多いので、墓誌の両面を使っている井上さんのケースが参考になりそうですね。明治維新より前とそれより後とで両面にすれば、バランスもよさそうですね」

「うん。井上さんちが、うちといちばん近い気がする・・・」

書院に戻って作業を再開します。これまで作り上げた家系図のプロットを、こんどは没年の時系列に並べ替えてみます。エクセルのふきだしに、MS明朝で、戒名、没年月日、俗名、享年を縦に入れていきます。わたしが入力し、半面くらいできたところで印刷し、内容を山田さんがチェックしていきます。

「お~それらしくなってきましたね。きれいだ」

こうして山田家さんの墓誌の原稿があらかた完成しました。このあとは石屋さんと墓地全体の設計図から、どれくらいの大きさの墓誌になるかがが決まってから、山田さんご自身が動くことになります。墓地の工事の前に、御霊抜きの供養をし工事中の無事を祈り、完成後には開眼供養をおこないます。

「大きく前進できました。ありがとうございました」

「いいえ~。こちらこそ。」

ご先祖さまのことがわかって、山田さんは気持ちがとてもすっきりされたご様子でした。わたしのほうも、山田さんと一緒に過去帳を紐解いたことで、明治の廃仏毀釈のころには、おてらに住職がなく、近隣のおてらさんに兼務をお願いされていたことや、関東大震災や戦争でなくなった多くの尊い御霊があることがわかりました。こうした御霊が日の目をみると、後世の私たちもいろんな思いを抱き、歴史が見えてきます。とても大切なことだと考えています。

 ご先祖を調べるうえで必要な資料は、おてらの過去帳とご自宅の位牌や石塔の刻みです。それを整理するツールにエクセルを使うと、便利なことがおわかりいただければ幸いに存じます。「ご先祖を調べる~墓誌をつくるまで」におつきあいをいただきありがとうございました。