どうげん事務屋塾

事務のツボをトレーニング!

リーフレットをつくる①

心にのこるものとはなんだろう? 

京都や鎌倉の大きなおてらさんをお参りすると受付でリーフレットをいただきます。本堂やお庭の写真、歴史などが書かれています。「広済寺でも作ろう!」とずっと思っていました。希望だけは10年以上続きました。これが非常に長かったような気が致します。印象に残ったチラシを手元にとっておくことはしても、いざつくるとなると動けませんでした。手にしたとき、「あ~なんてきれいなんだろう。ぜひ広済寺に行ってみたい。」となるようなものを作り出すには、いったい、なにが必要なんだろう?熟慮する日々が続きました。みなさんの心を動かすまでのモノをつくる力がなかったのだと思います。

外国人坐禅会でのミッション

 それが大きく動いたのは、建長寺で開催されている外国人坐禅会のリーフレットづくりに携わったことでした。

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  これは2012年1月にできた初版です。いままでは、坐禅の本をコピーしたものを手渡ししていました。ところがバッグにグチャグチャにしまわれたり、コピーするだけでも毎回大変な手間です。残念だったのは、一生懸命に手をかけても、すぐに捨てられるのをみていることでした。しっかりしたもので、かつ、記念になるようなものができたと思います。2013年には若干の改訂を加え、現在、使われています。初版は500部。第2版は1000部でしたが、年間のローテンションが増えていますから、増刷することになりそうです。これは大変にありがたいことです。

 印刷物というのは、完成してから、歩き出してくれると、ひとつの道筋をつくってくれます。坐禅の紹介がしっかりしてくると、こんどは般若心経も気になります。こちらもコピーでしたから、しっかりしたものにしたいということになりました。

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 内側はお経が書いてあります。鳴らしものとお経を読みだすタイミングがわかるようにしました。お経の係りは、ドラムとコンダクターと意訳しましたが、外国人の方にはわかりやすいと思います。イラストにしてみましたので、お経をよみながら、「日本人はこうやってお経をやるのか。。。」と理解していただけると思います。f:id:dohgen:20130128153119j:plain

コピーなら片面ですが、プリントにする場合、大きさが決まり、折るか折らないかの判断が出てきます。折れば、見開きがどちらからになるかが問題になり、かがみが必要になります。英語版・般若心経は左開きになるので、かがみはタイトルと三門の絵になりました。

 後日談ですが、まだコピーを使っていた頃のこと。般若心経を読み終わったあと、参加されたアメリカ人の方から、「音節とお経が一致していないが、きちんと読むには何が大切なのか?」と言われました。じつはそのときは指摘の意味が分からなかったのです。この版を作っていたときも、お経の部分はそのままコピーを取り込んでいたのです。一字一句打ち込むのも大変なので、スルーしたわけです。いざ、校正の後半になって、念のため、チェックしてみると、「あるわ~あるわ~!」お経の区切りが違っています。コピーは古いもので原典は不明なのですが、そのものに問題があったのです。

完成までのプロセス

レイアウトをしていくと、文章がそれほどいらなかったりします。限られたスペースの中にどれだけ印象が残るものにできるかが結構、シリアスな作業になってきます。建長寺は4年間、修行でお世話になった場所ですから、どんな絵にしたらよいかなどイラストでは苦労しませんでした。英文のほうは、外国人坐禅会の主幹である藤尾さんが責任校正をしてくださいました。さらに藤尾さんのご縁でネイティブの方にも見ていただいているので、英文も自然な表現になりました。非常に完成度の高い作品に仕上がったと思います。

 完成までの時間は、正味で2か月です。前述した般若心経の「ミスプリ事件?!」をはじめ、修正しなければならない問題が、ほかにもどんどんでてきます。しかし、デッドラインと目的がはっきりしていたので、順調に進みました。この大作を手掛けたことで、「広済寺のリーフレットも、同じ要領でなんとかいけるんじゃないだろうか?」と考えるようになったのです。

リーフレットをつくるために必要なことを挙げてみましょう。

①使う目的がはっきりしている。

例 お店や商品や紹介したい。

②いつから使うかがはっきりしている。

例 新年度からの新しいうごきのために、抜本的な周知やご案内が必要。

③何を載せたいか、新鮮でおいしいネタがあり、かつ、はっきりしている。

例 どんな写真やイラストを使いたいか、イメージがどんどんわいてくる。

ひとによってさまざまな差こそあれ、どの条件の下においても「はっきりしている」ことが重要なのです。なぜなら、それが「作りたい!」という強い意志につながるからです。制作中はかなりしんどい作業になることもあるので、「作りたい」という気持ちがブレないのは大切なことです。逆に、はっきりしない場合、「時を待つ!」。これも英断なのかもしれません。